救命事例

三峯神社様三峯神社での救命事例

権禰宜 経理課長 山中 剛 様
権禰宜 平野 宣夫 様
権禰宜 磯野 順一 様

パワースポットで起きた奇跡

三峯神社は今から1900年ほど昔、日本武尊がわが国の平和をお祈りし国産みの神様をおまつりしたのが始まりと言われており、とても歴史のある神社です。
毎月1日のみ頒布される白い氣守りを求め、全国から参拝客が押し寄せる、関東有数のパワースポットとしても知られています。
標高1,100mに建つ三峯神社までは、最寄りの秩父駅から40㎞ほどの距離があり、バスでの所要時間は約75分です。
この三峯神社にて起こった奇跡的な救命事例をご紹介します。

拝殿正面拝殿正面

AEDの設置から初めての使用まで

2014年6月、三峯神社に1台のAEDが納品されました。兼ねてからAEDの設置に意欲的だった山中さんは、ようやく念願のAEDを設置できたことに安堵したそうです。
それというのも、先に述べた通り三峯神社は人里離れた山頂にあり、有事の際に最寄りの消防署から救急車が到着するのにもかなりの時間を有します。もともとAEDに関する知識のあった山中さんは、万が一のことを考え、参拝者が多く訪れるその神社にAEDを設置することは必須だと考えていました。

AEDの設置から2年4ヶ月ほどたった2016年10月1日。毎月1日に頒布されるお守りを求めて山頂までの道は多くの車が列をなしていました。その渋滞の中、道の途中にある仮設トイレの付近で男性が倒れ、AEDを使用する事態になりました。
救急車が到着するまでは実に40分もの時間を要しましたが、救急車到着前に、三峯神社からAEDが現場に届き、使用されました。男性は一命を取りとめたそうです。
このことにより、山中さんはAEDの重要性をより強く感じるようになりました。

最初の救命からわずか1ヶ月後のできごと

その奇跡的な救命がなされた約1ヶ月後の2016年11月7日、またAEDを使用する事態が発生するとは誰が予測できたでしょうか。
その日は朝の気温が3℃と11月にしては寒い日でした。
正午頃、お祓いを受けに来ていた50代の男性が、社務所近くで急に前のめりにバタンと倒れました。周囲の参拝客がざわつく中、すぐに従業員が現場に駆け付けました。
すでに男性の意識はなく、救助が必要な状態でした。周りにいた看護師らしき女性2人が心肺蘇生を開始しました。

倒れていたのは50代の男性で、ふくよかな方でした。
仰向けに寝かせたところ、男性はいびきのようなものをかいていました。(死戦期呼吸)
地元の消防団でもある平野さんは、その場で男性の救助にあたりました。
同じく現場に駆けつけた磯野さんはすぐに社務所横の宿泊施設1階に設置されているAEDを取りに走りました。
磯野さんは今までAEDの使い方を習ったことはなかったそうですが、「AEDのフタを開けると、自動的に音声が流れてきて使用方法を案内してくれて、パッドを貼る位置もイラストに描かれていたので、迷うことなく使用することができた」と語っています。

パッドを貼り終えると、「電気ショックが必要です」というアナウンスが流れ、ボタンが光りました。磯野さんは周囲の安全を確認し、そのボタンを押しました。
「ボタンもショックボタンひとつだけだったので迷わず押すことができた」とのことです。
電気ショックの瞬間、男性の体がビクッと動きました。
その後心肺蘇生を再開したが、ほどなくして男性の意識が戻り、会話ができるまでになりました。救助は無事に成功したのでした。

屋外は冷えるため、男性を担架に乗せ社務所内の応接室にて救急隊の到着を待ちました。
救急隊からの指示により、AEDは体から剥がさずに、貼り付けたままにしました。
その頃、山中さんは救急車の先導をするために車で山を下っていました。
秩父消防からの指示があったのか、ドクター2名を載せたドクターヘリが出動し、山の中腹あたりまで到着していました。そこに救急車が到着し、その救急車にドクター2名も乗り込み、山中さんの先導で現場に向かいました。
救急隊が現場に到着したのは、なんと119番通報をしてからおおよそ55分後のことでした。

現場に到着後平野さんが救急隊の方に状況の説明を行いました。

当時を振り返って

救助に携わった皆様にお話を伺いました。

山中さん:やはり場所柄、救急車が到着するまでに時間を要してしまうので、今回AEDを設置しておいて本当に良かったと感じました。
最初は1台だけの導入でしたが、今回のこともあり設置台数を2台に増やしました。
これで、さらにAEDを少しでも早く使用することができるのではないかと思います。

平野さん:既に、地元消防団等で、普通救命講習を受けたり、秩父消防署職員による三峯神社内での講習も受けていたので、AEDを使用するのに迷いは無く、自然に使用する事が出来ましたが、初めて実際に使用し、その効果に驚きました。

磯野さん:初めてAEDを使ったが、ボタンが1つしかない設計により、有事の際に迷うことなく操作できたことで早期にショックができて蘇生に繋がったと思います。
参拝者の方に何かがあった際には迷わずAEDを使用して、これからも安心して参拝していただけるように見守っていきたいと思います。

左から 権禰宜 磯野順一様、権禰宜 平野宣夫様左から 権禰宜 磯野順一様、権禰宜 平野宣夫様

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