設置事例

札幌医科大学附属病院における AED日常点検へのリモート監視システム活用事例

平成16年4月、札幌医科大学附属病院中央部門に臨床工学部門が設置されました。
平成23年4月、臨床工学室は臨床工学部に発展し、医療機器の故障や誤操作など医療機器関連のトラブル防止や安全使用の啓蒙活動などにも取り組んでおり、ME機器センターのコア的な存在としてその役割を担っています。

現在、部長と副部長の医師2名と技士19名、事務員1名で活動するなかで、当院ME機器センターの保守管理業務を民間業者に一部外部委託しており、事務部と臨床工学部及び委託業者が連携しながら医療機関の一層の安全管理や効率的な運用等を考慮し、円滑な病院運営に寄与しています。

今回は、札幌医科大学附属病院 臨床工学部 主任技師(臨床工学士)で医学博士の室橋 高男様に、AED日常点検におけるリモート監視システム活用について、お話を伺いました。

札幌医科大学附属病院 臨床工学部の方々<br />
(向かって左より、橋本様、室橋様、千原様、橋本様)札幌医科大学附属病院 臨床工学部の方々
(向かって左より、橋本様、室橋様、千原様、橋本様)

AED 導入と管理

当院では、AED(自動体外式除細動器)を2010年から導入しています。
現在の設置台数は17台、今年は9台増設し、合計26台保有する予定です。
すでに設置していた他社の機種から随時更新していくにあたり、院内のAEDはすべて日本光電製のAEDで統一されました。新たに設置したAEDは、心電図波形の確認ができるAED-2151という機種です。

AED-2151AED-2151

当院は、地下2階から地上11階まで各フロアにAEDを1台から2台設置しています。
私たち臨床工学部では、いつでもAEDが使える環境を維持できるよう、すべてのフロアのAEDの日常点検を行っています。
基本的には日勤帯でAED点検ラウンドをしていますが、業務多忙な日は夜間に行うこともあります。

AED-2151画面例AED-2151画面例

AED Linkageを使用したAED管理の実際

AED Linkageは、AEDの状態を集中管理するAEDリモート監視システムで、日本光電がユーザーサービスとして提供しています。
AEDLinkageの使用により、トラブルがあればEメールが届くという安心感があり、便利なツールと思います。

当院では、AEDLinkageをAED点検ラウンドのサポートと考え、日常点検(AEDラウンド)を継続して実施しています。
故障に至らない外観破損の有無や予備の電極パッド、人工呼吸器具、AED配置図(裏面:ストレッチャー配置ガード)がAED専用キャリングバッグに入っているか目視にて確認しています。
同じ場所に設置したAEDを夜間・休日に2回使用した経験から、予備のAEDパッドも必要として配置しています。万が一に備え、ME機器センターの機器貸出棚に3枚、医材保管棚に1~2枚程度のパッドを通常在庫として運用しています。

院内のAED設置例(AED-2151)院内のAED設置例(AED-2151)

電極パッドの定期交換や、バッテリの消耗・定期交換時期には、Eメールでお知らせが届きます。メールでは、製造番号だけでなく登録した設置場所の情報も一緒に届くので、すぐにどのAEDが該当するかがわかり、迅速に対応できます。バッテリについては、より詳細な残量が1%単位で通知されるので、非常に便利です。
AED Linkage導入後は、電極パッドの期限切れやバッテリ残量など、注意喚起メールが届くようになり、発注忘れによる緊急納品依頼で業務課などへ迷惑をかけることがなくなりました。そのほか、AED本体と通信機器の間で接続が切れてもEメールが届くため、AED本体の保管状況や通信機器の故障などの変化にも気づきやすくなっています。

AED点検表(AED-2151)AED点検表(AED-2151)

AEDのデータ管理

AEDの使用後は、使用した医療スタッフに使用報告書を記載してもらい、点検依頼書の代わりとして運用しています。
使用後点検では、電極パッドの補充だけではなく、除細動レポート表示ソフトウェアをインストールしたパソコンを利用し、AED本体から心電図や救助データなどの履歴を取り出して確認・保存しています。使用報告書とAEDから取り出した心電図を当部のリスクマネージャーが確認し、医療安全部へ提出することとしています。
除細動レポート表示ソフトウェアを使用して保存情報をダウンロードする際、AEDとパソコンはBluetooth®による接続が必要です。初めて接続するAEDは若干の手間を要しますが、登録してしまえば簡単に接続可能です。

AED使用報告書AED使用報告書

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